「機械化と職人技が鍵~実習延長で技術伝承を」-JIAEC NEWS 2008年5月号:清田アルマイト

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「機械化と職人技が鍵~実習延長で技術伝承を」

-JIAEC NEWS 2008年5月号

株式会社清田アルマイト(栃木県足利市)は、アルミニウムの陽極酸化皮膜処理(アルマイト)の新技術で栃木県フロンティア企業に認証された企業だ。
同社のアルマイト製品は、自動車の外装部品や船舶用部品、半導体製造装置、医療機器など様々な分野で採用されている。研修生・技能実習生3名が、古くからアルミ加工業が盛んな足利市でアルマイト技術を学んでいる。

ミドルテクを追求

工場内の様子

栃木県足利市は、戦後にアルミ加工業で栄えた町だ。アルミ製大根おろし器の目立ての技術も、もともとは足利市で発祥した技術と言われている。(株)清田アルマイトは、昭和31年(1956年)に鍋ややかんなどのアルミ製家庭器物の加工業として創業した。社名にあるアルマイト(陽極酸化皮膜処理)とは、アルミニウムの表面を陽極電解し酸化させ薄い酸化皮膜を作ることで、アルミニウムの耐食性や耐磨耗性を向上させたり着色する表面処理のこと。同社の清田明代表取締役によると、アルマイトはメッキや塗料による表面処理に比べ、製品の重量や厚みに変化を与えない点や、有機溶剤を使用していないことからそのまま焼却して環麓に優しいリサイクルが可能な点などで利点があるそうだ。
同社では、地場のものづくりが生き残れる道として、ミドルテクを追求している。ハイテクは資金さえあれば海外移転が可能であり、ローテクは後継者の不在で終焉してしまう。清因社長は、「機械化のノウハウ」と「職人の経験で培われたノウハウ」の2つの鍵がなけれぱ扉が開かないという、ミドルテクこそが地場産業の財産になると確信している。
同社では、2003年からインドネシア人研修生の受け入れを始め、現在5期目となっている。

実習延長に期待

清田社長は、これまでに出会った外国人の中でも、「インドネシア人は日本人と心情的にとても相性がいい」と語る。目標を持ってハングリー精神で取り組む姿などは、日本人も見習わなければと考えさせられることもある。長靴を履いて薬品を扱うアルマイトの工揚は、どうしても日本の若年層からは敬遠されてしまうのが現実だ。こんな中で、祖国に技術を持ち帰ろうと頑張る若い研修生と実習生の存在に期待が高まっている。
同社では、雨風にさらされる自動車のルーフレールのアルマイト処理を行う上で、耐アルカリ性の向上に取り組んだ結果、JIS規格の3倍の耐アルカリ性を実現した。清田社長によると、「この高い耐アルカリ性実現の鍵を握っていたのは、実は先代から受け継がれた鍋ややかんに使われてきた技術だった」と振り返る。同社は、この技術で2004年に栃木県フロンティア企業に認証され、国産白動車メーカーの外装部品などに多数採用されている。
これらの先端技術を研修生・実習生に伝える上でネックとなっているのが、現行の最長3年という研修・技能実習制度の期間だという。清禺社長は、情に厚いと言われる日本人として「そんな希薄な関係でいいのか」と疑問を投げかける。3年間では、基本技術しか教えられないが、それでは納得がいかないというのが本音だ。実習生を対象とした「ものづくり技術大賞」などの衰彰制度を作り、これを受賞した優秀な実習生は、技術者としてもう一度日本に来れるような制度が理想的なのではないかと提案して下さった。

違いを理解

忘年会にて

現場では、佐藤大取締役工場長と同僚の方々が付きっ切りで指導して下さる。そして生活面に気を配って下さっている事務所の佐藤真知子さんは、「アジア人だからか、研修生・実習生はとても親しみやすいですよ」という。
清田社長によると、研修生・実習生との付き合いで一番重要なのは、「過剰にべったりすることはないが、宗教の違いを理解してあげること」。以前外国に滞在した経験がある清禺社長は、外国で暮らしてみて初めて、自分が日本入としてのアイデンティティを持っていること.に気付いたそうだ。だからこそ、今外国で暮らしている研修生・実習生のアイデンティティを認め、理解することの大切さが身にしみて分かるという。
言葉の面での問題は、先輩が帰国する前に新しい研修生を受け入れ、現場で引継ぎ期間を設けることで解決できた。ただし、先輩と一緒の時間が長すぎると研修生が頼りすぎてしまうというデメリットもあるので注意が必要。それでも同本語の語学力については、「どうしても個人差が出てしまうもの」と、寛大に受け止めている。
会社の行事にも、研修生・実習生は喜んで参加する。昨年末の忘年会では、社長をはじめ全社員が参加して仮装カラオケ大会となり、大いに盛り上がった。研修生・実習生はお酒は飲まないが、社員の皆さんと一緒に思い切り楽しんだようだ。そして、実習生が帰国する前の、「さよならパーティ」では、お世話になった会社のみなさんと涙の別れとなる。
インドネシアに帰国しても、足利の地で学んだアルマイトの技術とフロンティア精神は、きっと役に立っことだろう。